【高校生】理科〈植生の遷移:一次遷移と二次遷移について〉
遷移とは
年月とともに植生が移り変わっていく、植生の変化のことである。
〈重要語句〉
・一次遷移…溶岩上や新しい島など植生が形成されていない(裸地)から始まる遷移のこと。
・二次遷移…以前あった植生がなくなった後、土壌中に種子などが残っている状態から始まる遷移のこと。
・乾性遷移…一次遷移の中の一つで、陸地から始まる遷移のこと。
・湿性遷移…一次遷移の中の一つで、湖沼などから始まる遷移のこと。
・先駆植物(パイオニア植物)…水分がなく、高温や乾燥にさらされる裸地に最初に侵入、定着する植物のこと。
・極相…遷移がそれ以上進まず、相観が変化しないようにみえる状態のこと。
乾性遷移〈裸地から荒原へ〉
裸地には土壌がないため、水分や生物が生存する上で必要な塩類(栄養塩類)がなく、
直射日光で高温、乾燥にさらされる。そこへ先駆植物(ススキ、コケ類など)によって小さな島状の荒原ができる。
〈荒原から草原へ〉
年月の経過により、岩石の風化が進み先駆植物の枯死体が混ざり、土壌がつくられる。
そこへしだいにススキ、イタドリなどが広がり、草原へと移行する。
〈草原から低木林へ〉
草原になると、草本植物の枯死体で土壌が発達する。やがて、風や鳥に運ばれた樹木の種子は、発芽、成長し低木林へ移行する。低木林では、落葉した根などが土壌に加わり、高木が生育できるほど土壌が発達する。
〈低木林から極相へ〉
最初に生育する高木は、強い光で早く育つ陽樹であることが多い。陽樹林が増えると林床に届く光が不足するので幼木は育たず、弱い光で生育できる陰樹の幼木が成長する。
しだいに陽樹と陰樹の混交林を経て、陰樹林となる。
- 一次遷移とは
生育のされていない裸地の状態から始まる遷移のこと。湿性遷移と乾性遷移に分けられる。
- 二次遷移とは
以前あった植生がなくなった後に、土壌中に種子などが残っている状態から始まる遷移のこと。
〈湿性遷移の行われ方〉
そもそも湿性遷移とは
- 湖沼や河川から進行する植生の移り変わりのことである。
- 湖沼に周囲からの土砂や落葉が流入し、水深はしだいに浅くなる。
- 栄養塩類の増加により、植物プランクトンが増え、浅いところにクロモなどの沈水植物が育つ。
- スイレンなどの浮葉植物が侵入すると沈水植物は消え、ヨシなどの抽水植物が侵入してくる。
- 水深がさらに浅くなり、水面から現れた地面が乾くとスゲ類などの草原になる。
- ハンノキやヤナギなどの樹木が侵入して森林になり、しだいに極相林へと遷移する。
〈二次遷移について〉
大規模な山火事や伐採によって森林が消失しても、また草本植物などが芽生え、再び植生が形成される。
これらが起こる理由として、森林の土壌は栄養塩類が豊富で植生が消失しても土壌中に植物の種子や地下茎が
残っている。また、森林の伐採跡地では、切り株も萌芽も見られるため、再び植生が形成されやすくなる。